電源装置用電流計
現在使っている電源装置は、何度かの変更の末に 9V 0.8A のスイッチングアダプタを3端子レギュレータで 5V に落として、電流監視用にフルスケール 600mAの 電流計をつけたものです。この電流計は30年以上も前に購入した30mAのものに抵抗線をカットアンドトライでシャントに入れて600mAにしています。途中に400Ω の巻線型可変抵抗を入れてありますので、電流制限を加えねばならないときに重宝しています。試作回路にはじめて通電するときや発光ダイオードの方向を調べる 時に便利です。

通常のMCU回路の電源としてはこれで十分なのですが、電球やモータをつなぐときにはやはり電流容量が不足します。消費電流が大きい時に目一杯まで流れずに、制限に かかるのでしょうか、少ししか電流が流れず、かつ、動作しないことがあります。容量の大きなものに変更すると期待どおりの動作をします。
手持ちに、古いスイッチング電源ユニット 5V 5A があります。このユニットをケースに入れれば使えるわけですが、電流を知りたくなります。 前置きが長くなりましたが、そこで、電流計を作ろうと考えました。

電源回路マイナス側に 0.1Ω の抵抗を入れてこれに発生する電圧をADコンバータで変換してLEDに表示する、という考えです。 電流MAX 4A とすると電圧降下が 400mV で すから 5V が 4.6V になります。これを見越して無負荷の時の出力電圧を高めの5.2Vにしておきます。0〜4Aで5.2V〜4.8Vとなりますからこれで使える、とします。 一方、400mV を 10ビット変換するのはやや苦しい(と思う)ので、増幅してから変換することにしました。

オペアンプの実験:LM324N単電源オペアンプが部品箱にありました。オペアンプは殆ど使ったことが無いのですが、データシートを探していると、非反転入力に 信号を入れ、出力を1Mで反転入力にフィードバックして、この端子を10kでGNDに落とすと Non-inverting DC amp. ができるとありました。ブレッドボードに組み立てて、 フィードバック抵抗を100kにしたところ、入力電圧の (100k/10k)+1=11 倍の電圧が素直に出てきます。その昔、アナログアンプを組み立てて思うようにいかず、失敗を 重ねていたのが嘘のようです。このICを使って増幅する事にしました。

LEDの表示:発光している方が見やすいので、LCDはやめてLEDにします。MCUはADCがある手持ちのTiny26Lかmega8,mega48ですが、変換テーブルがもし必要に なったときにRAMに余裕のあるmega8にしました。しばらく7エレLEDを使っていなかったので、まず表示の確認からはじめることにしました。74mm×48mmの蛇の目基板に mega8とコモンアノードドライブの2SA1015を置き、LED連結用とプログラム書き込み用のピンヘッダを配置し、電流制限抵抗をピンヘッダに半田付けして主な部品の配置が 終わり、あとは0.2mmのUEWで配線して行きます。今回はノイズを防ぐためにAVccは10μHと0.1μFのフィルタを付けました。いつものことですがこの段階では回路図を 作っていません。以前は「動いたらよし」で回路図をまとめなかったために1ヶ月もすれば忘却の彼方だったのですが、このページを始めてからは忘れる前に回路図を 作りますから、自分で助かっています。以前のプログラムをコピーして修正し、LEDに数字が送れるようになりました。(もっとも、ここに書くほどには簡単にいきま せんでした。)

オペアンプの設定:基板にオペアンプを取り付けて完成をなるわけですが、データをもう一度考えてみます。
@測定値はMAX 4A としてみます。
A0.1Ωの抵抗で測ると400mVを表示することになります。ADCは10ビットですから、最少カウント1は、4mV、4mA になり
 ます。 4桁表示で最少は4刻みになります。あとになって、カウントを4倍する代わりに4回の測定値を足すことにしまし
 たので、平均値を 表すことになり、4の倍数以外の表示も出ることになりました。
BVrefに2.56Vを使うとして、4A流れたときに2.5Vの入力がmega8にあれば良いわけです。4Aの電圧降下が0.4Vですか
 ら、オペアンプ入力0.4Vで出力2.5Vになればよろしい。
Cオペアンプの増幅度は 2.5/0.4=6.25 です。フィードバック抵抗はそれに近い56kとします。 56/10+1=6.6(倍)
 (数値表示の段階で、10ビットのデータを4倍するとほぼ、0.1V入力で 1.000の表示が得られました。細かな調整は完成してからソフトで修正するか、修正せず辛抱 するか、を決めましょう。)

回路図


完 成:ベニア板とアクリル板とボンドに両面テープ工作でこのような電源装置ができました。ケースが木製ですから将来のゴミ処理も簡単にできるという 利点があります。

電流の表示値は、20Ω、10Ω、2.5Ωの抵抗をつないで手持ちのテスタと比べたところ、電流値によってばらつきがありますが4%から1%程度の違いとなりましたので そのまま使うことにしました。ターゲットのおよその消費電流を知るのが目的ですから十分期待通りの値だと思っています。 表示のインターバルは長くするとタイムラグが大きくなり、短くすると変化を眼で読みとれなくなります。アナログと違った使いにくい点ですが 0.5秒ぐらいに しました。
MCUは極一部しか使っていないので、修正のためのプログラムやデータテーブルのためのRAMも十分余裕があります。これを使うとさらに精度を上げることも可能で しょう。オペアンプの帰還抵抗もたまたま変更の必要がありませんでした。もし必要なら半固定抵抗を直列に入れて調整することもできると思います。 しばらく使ってみて、変更が必要と思えたら改造することにしましょう。
MCUにmega8を使いましたが、このぶんではtiny26でも十分だと思います。
ここにプログラムを置きます。



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