パルスモータ                      TOPページへもどる

1 パルスモータを回してみる 050809
2 励磁方式の違い 050820
3 他のパルスモータ2種 050828
4 バイポーラパルスモータ 051001
5 秋月電子のステッピングモータ 051123


1 パルスモータを回してみる

 実験用のパルスモータを入手しました。簡単な説明書には SMB-35 と書かれ、回転角15°/ステップ、コイル抵抗93Ω/コイル、12Vで約130mA熱に注意と あります。大きさは円筒形の部分が直径35mm、厚さ15mmで、デジットで150円でした。大型のものはドライバが大がかりになるから小型にしました。 手持ちの9V電源につなぐと100mA位、これならC1815でも実験できるだろうとの目論見です。
パルスモータには2種類あって、バイポーラ型は出力は大きいがドライバ回路が複雑(逆転させるためにはHブリッジが2個必要)で、ユニポーラ型は出力は 小さいが4個のトランジスタで制御できる、と聞いていましたのでユニポーラ型にしました。
写真のものには回転を見る臨時の針マークがついています。
左の図に示す結線図がありました。




付属の回路図はMCUのものでなく一般IC(印刷が悪くて読めない)使用ですが、最終段はCOMに+電源をつなぎ、各コイルはダーリントントランジスタでGND側 がon、offされています。逆起電力対策のダイオードも入っています。
先輩の教えを請うべくWebを検索しました。パルスモータを動かしてみよう(AVR)ステッピング・モータ駆動回路、で知識を得ています(感謝)。

次に、回路の構想です。コントロールには最近購入のtiny2313-SOICを使います。
ドライバトランジスタは8Vの時に100mAと考えて(実験ですから)2SC1815を使うことにします。ベース抵抗はベース電流を 多めに流すことにして、1kΩにします。hfeからも 余裕だと思います。逆起電力対策用のダイオードは、150mA流しても異常が見られなかったジャンクの小信号用スイッチングダイオード(らしい)を使います。
モータにはコネクタがついていましたので、それにあうようにコネクタピンを銅線と厚紙と瞬間接着剤で作りました(ヒマ?)。 これらをブレッドボードに並べたのが右の写真です。SOICの2313はボードにさせるようにゲタをはかせてあります。

コントロールプログラムを書いてみます。MCUはデフォルトのCRによる0.5MHz、4つのコイルはポートB3〜B0につなぎました。
φ1〜φ4のコイルに「1001」、「0011」、「0110」、「1100」を順に送ると回転するはずです。適当にウエイトルーチンを入れて通電しましたが、回ってくれません。
ウエイトの時間をどんどん長くしていくと、ついに回りました。意外なほど低速でないと回らなかったのです。(あるいは、もっと回るものだと思いこんでいたのでしょう。)
その後の調べで、8Vで200回転/分が最高回転でした。逆に、遅いほうはステップの間に休みを入れて、いくらでも遅くできます。5Vでは120回転/分ぐらいが最高です。
バラックセットを元に基板に組み立ててみました。 異なる回転をプログラムして、タクトスイッチの押下回数でプログラムを選択することにしました。
タクトスイッチによる選択はシリアル選択に限られますが、1ポートの入力で選択が可能です。ときどき使うルーチンですから、 ここにサンプルを置くことにしました。

回路図と8つのモードを設定したプログラムです。

パルスモータの特性でしょうか、回転が速くなるとトルクが小さくなり、L成分が効いてくるのか、電流が少なくなります。
5Vでは遅い速度では回りますがトルクは小さく、極低回転でトルクが要らない(表示用?)使い方は可能です。約80〜100mA流れます。
9Vでは約160mA流れて、低速では少々のトルクを感じます。低速の位置決めには使えそうです。熱くなりますので連続の運転には放熱を考えねばならないようです。
12Vは試していませんが間歇的な動作(制止時はoff)では可能でしょう。
なお、ステップは実測すると7.5°でした。

上に書いた回転のためのコイル電流(電圧)、「φ1〜φ4のコイルに「1001」、「0011」、「0110」、「1100」を順に送ると回転するはずです。」は、 4ビットが左ローテーションしています。これを右ローテーションに変えると逆回転になります。



2 励磁方式の違い

パルスモータの励磁には、一相励磁、二相励磁、一・二相励磁の3とおりの方法があるようです。ユニポーラ型はXY#X#Yの4つのコイルがありますが、 そのうちの2つに通電するのが二相励磁で、1つだけ通電するのが一相励磁です。一相励磁は消費電流は少ないのですが、トルクが小さいので通常は使われないようです。
上の項では二相励磁で回してみましたが、この他に一・二相励磁といわれ、半分のステップ角で回転させる方法があります。次にこれらのパルスの違いを図示します。

今回は一・二相励磁を試してみました。ステップ角が半分になり、3.75°、1回転96ステップになりました。一相励磁の場所がありますからトルクには 注意が必要ですがステップ角を小さくしたいときは有効だと思います。前回のプログラムを少し変更して一・二相励磁による運転を加えました。 なめらかな感じがします。




3 他のパルスモータ2種

パルスモータが回ったことに気をよくして(単純)、他のモータも買ってみました。

上の大型のものはしっかりした構造で重量感があります。簡単なスペックのコピーがついて250円、下の小型のものは現物のみで100円でした(デジットで購入)。
大型のものはユニポーラを確認して買いましたが、小型のものはリードの数からユニポーラと想像して買いました。いずれも、最初のモータとXY#X#Y(#はアッパー バーの代用)をあわせて接続もしくはポートの変更をすると、同じプログラム、同じ回路基板で回りました。小型のもののコイル接続(XY#X#Y)はテスタで導通を調べて、 回転状態から想定しています。

大型のものは重いのですが、9Vをかけると約120mA流れて(コイル抵抗実測値140Ω)、極低速回転にすると直径5mmの軸を指でつまんで止めるのが困難なほどのトルクが あります。12Vで使えばまだ大きくなりますからステップ角の小さいことと併せて移動体で無ければ使い道があると思います。

小さい方はさすがに力が無く、またステップ角も大きい(18度)ので、使い道は限定されるでしょう。


4 バイポーラパルスモータ

故障して使えなくなったプリンタからパルスモータを取り出しました。リードが4本ですからバイポーラ型のようです。バイポーラ型はトルクが強いと書かれています ので、プリンタの様な負荷が大きいものは当然でしょう。ユニポーラ型は4つのトランジスタで駆動できるのですが、バイポーラ型は2つのコイルにそれぞれ 逆方向にも電流を流す必要があるので、2つのHブリッジが要ることになります。ドライブがめんどうです。
DCモータの正逆回転実験用に東芝のHブリッジTA7288 を2個買ってありましたので、駆動の実験をしてみました。モータの直流抵抗を測定すると8Ωです。TA47288は1A の容量で、上下のトランジスタで約2Vの電圧降下があります。5Vで駆動するとコイル電圧は約3Vで約0.4A流れますからコントロールできます。このときのコイルの電力は 3V×0.4A=1.2W、2つのコイルでは2.4Wになりますからそこそこのトルクは期待できると思います。
組み立ては実験のあとどうなるかわかりませんので、プログラム切り替え用のDIPSWまですべてソケットを使用しました。

回路図テストプログラム

コイルの励磁は前述の「2 励磁方式の違い」の項の図、二相励磁と同じ波形の電流を流しています。逆転の時は#X#YXYで流しています。5Vの電源で回転速度を 遅くすると0.8Aの電流が流れます。トルクはかなりあるようです。回転を速くするとコイルのLが効いてくるのでしょうか0.5A程になります。ドライバのTA7288 の電流容量には余裕があるはずですがずいぶん熱くなります。フィンを触るとやけどをするのではないかと思うほどです。1.5cm×4cmのアルミ板をフィンにがちゃんこ (紙を止めるクリップ)で付けると温度が低くなりますがそれでも結構熱い感じです。

ピニオンギアがついていますが、相手の歯車がありませんので使えません。邪魔になるからバイスで挟んで叩いて抜こうとしましたがまったく動きません。 何か良い方法は無いものでしょうか。もし、お知りの方が居られましたらお教え下さい

今のところ使用予定はありません。先述の3のモータは、0.2mmUEWをミシンのボビンに巻き取るとき重宝しました。軸にビニルテープを巻いて径を合わせ、ボビンを 押し込んで回しました。ゆっくりした回転が巻き取りに適していました。

一相励磁の実験を、先だってしてみました。TA7288は2つのコイルに、同時にはできませんが、正逆両方の電流を流すことができます。ブレッドボードに組み立てた ところ回転しました。コイルには、X、Y、#X、#Yの順に電流を流すと回転します。ドライバICが1個で済み、電流も少ないのですが当然トルクは弱くなります。 実験の後にWebを調べるとデジットのデータにTA7288を使ったバイポーラパルスモータの駆動回路がありました。




5 秋月電子のステッピングモータ

このステッピングモータ(パルスモータ)はかなり有名らしく、Webにも多くの発表があります。特に用途があるわけではないのですが取り寄せてみました。
多摩川精機製で TS3103N124 と表示されています。
秋月からは説明書が付いてくるのですが、その中に11個の形式のデータが書かれていますが、なぜか当該の品だけは書かれていません。秋月の不思議(?)のひとつでしょうか。 欄外に近い感じのところにスペックの一部が書かれています。
 ステップ数:200(1.8度) 駆動電圧:12V(24V)  
 コイル抵抗:86Ω/相  コイル電流:140mA(12V)
 軸径:9mm 及び コイルの結線図

です。
大きさと重さはWebのカタログより、外形寸法:φ56.4xH53mm、フランジ:56.4x56.4mm 重さ500g です。
製造元のWebページには他の形式(品番)のデータはあるのですが、この品番はどこにもありません。特注品なのでしょうか。

パルスの周期をバリオームで可変できるテスト用ドライバを作って回してみた結果を書きます。
12Vで駆動したときは、低速回転時(3.5秒/回転)の時、2相励磁の電流220mAです。最高速は指で軸をつまんでも停止が困難なトルクの状態で 1.5秒/回転 170mA でした。 これ以上は少しは速くなるのですが、トルクが急激に小さくなります。 逆起電力にダイオードだけでの対策ではこの回転速度が限界のようです(他の方法は試していませんが)。
24Vでは、低速回転で 約400mA、最高速は 0.7秒/回転で 約200mA でした。 24Vで30分も運転すると指で触っていられない温度になります。この温度から考えると24Vでは 連続運転はできないのではないかと思います。12Vではやや暖かくなる程度で問題はありません。
トルクはかなりあるように思うのですが、12Vでの実用最高回転数が毎分40回転程度ですから、かなり遅い感じがします。



回路図プログラム

12Vまたは24Vで駆動できるように電源には3端子レギュレータを入れてTiny26L用の5Vを作っています。回転速度を変えるためのパルスの長さの変更は、バリオームで 分圧した電圧をAD変換してディジタル値を得て、それでウエイトルーチンを変えています。AD変換のためにTiny26を使いました。
最終ドライブは東芝のMP4401です。ディスコン品ですが以前に秋月で購入しました。NチャンネルMOSFET4回路入りで、ON抵抗が0.33Ωです。フライホイールダイオード を内蔵しています。

トルクがかなりあることと、軸に3mmの雌ねじがあることから、アクリルの円盤を切り抜いてみました。ボビンを作るために1.4mmのアクリル板を3mmのビスで軸に固定し、 プラスチックカッターを手持ちで押し当てたところ、思ったよりも簡単に切り抜くことができました。真円からはほど遠いのですが、一応丸い形にはなりました。




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